itomaのブログ

病気と戦って26年?、肝硬変と二度の肺癌からの生還

イレッサによる肺癌治療

かなり前、私が最初の肺癌を経験した時のことであるが、抗癌剤イレッサの服用の是非についてかなり問題となっていた。副作用による死亡例が明らかになったからである。それから、月日が経ち、今ではイレッサは副作用はあるものの、抗癌剤として一定の評価を受けており、禁止云々の議論はなくなったようである。

もうあれからかれこれ20年ほどが経過し、がん治療もかなり進んだせいか、かつてのような死の病という感じではなくなったような気がする。これは前に書いたが、私は肺癌に二回なった極めて珍しい患者である。最初は、肺の部分切除が考慮されたが、肝硬変のため、血小板が少なく、肺を切り取るとほぼ肝不全を起こすと言われ、この方法はすぐに選択肢から消えた。それで、患部だけを切り取る胸腔鏡手術が採用されることになった。ただ、問題は患部だけの切除のため、普通でも再発する可能性が高い肺癌ゆえに再発のリスクはかなりあると言われた。

幸い、再発することもなく、ことなきを得たが、それから15年ほど経って同じ肺腺癌を患うとは思いもしなかった。まったく、前回の肺癌とは関係ないため、再発ではなく、原発性の癌であった。治療方法は、ほとんど選択肢がなく最初から放射線治療に決められていた。前回よりも患部が大きく、胸腔鏡手術は無理であるため、この方法しかなかったのである。

さて、話を元に戻すと、最初の肺癌を患った当時、ブログで肺癌の闘病記を書かれていた某大学で教えておられた若い女性の方がいた。その方は手術直前になって転移が見つかり、抗癌剤治療に託すことになった。おそらくイレッサがまだ世間的認知を受ける前であったため、副作用と相まってその服用に対してかなりの批判があった。その方は藁にもすがる思いで、イレッサの服用を開始されたが、結局、治療の甲斐もなく、亡くなられた。イレッサの特徴として女性への効果が顕著であり、効き目にはかなり個人差がある抗癌剤であるため、その服用には様々な意見が出たものと思われる。彼女は学会でも注目されていた新進気鋭の研究者であったため、本人もさぞかし残念だろう。ほんの少し前に癌が分かっていたら、転移前に手術もできたのにと思うとかえすがえすも残念でならない。